franzkafka1232005-07-11

ひょんなことから行きつけのビリヤード場の社長と4先で勝負をすることになった。社長はカスタムキュー販売の分野では名の知られた人物であり、日本ビリヤード機構(JBC)プロ?でもある。念のために調べてみたけれど、JBCのHPのプロ名鑑には載っていないようだ。そりゃもうプロの社長とありふれたB級プレーヤーの僕の間には相当の実力差がある。勝負らしくなるわけもない。やれやれと思いながら僕は気楽に撞いていた。第1・2・3ラック、おそらく社長は実力差を考慮して遊び半分で撞いていたこともあり、僕が要所をしめて3−0。いくら余興のゲームだからといって負けられないと思ったのか、社長の顔色が変わる。記憶が曖昧だけれど、裏マス、マスワリの後、第6ラック、厳しいセーフティを決められ、難しい2クッションで当てにいくがファール。あっという間に3−3。第7ラック、ブレイクが決まり、ちらっと配置を確認してもう終わりだなって思ったけれど、多少のプレッシャーがあったのか、ポジションミスからロングの5番カットを厚めにとばして、そこからなんとか僕が取り切り。4−3。もちろん社長が最初のラックから本気で撞いていたならば、4先の勝負なんて、ものの15分ぐらいで0−4で僕がスコンク負けしていたと思う。このゲームから強く感じたことがある。至極当然のことだけれど、勝負事の世界に「絶対」はないということ。格上の選手が必ず格下の選手を負かすとは限らないということ。もちろん両者の実力差があまりにも開きすぎている場合は例外として。ビリヤードの基本練習にセンターショットというものがある。間違いなくプロならば百発百中の精度でポケットするだろう。ただし、それがあくまでも練習であるならばの話。試合になればすべてのショットに精神的なプレッシャーがかかる。おそらくイージーなショットなど1球もないはずだ。勝負が緊迫している場面では、センターショットレヴェルのショットの難易度もぐっと増すと思われる。最終ラック、きっと社長なら90%はマスワリに出来ておかしくない配置だった。でもちょっとしたポジションミスからのポケットミス。残り玉の配置も簡単ではなかったけれど、第1・2・3ラックで撞かしてもらっていたということもあり、そのラックでもいわゆる僕はよくキューが出ていた。先日、台湾で行われたばかりの9ボール世界選手権は、地元の呉珈慶選手が史上最年少の優勝を飾り幕を閉じた。彼はまだ16か17歳。大会前、果たして彼の優勝を予想できたビリヤード専門家はいただろうか?驚くべきことに、今大会、ベスト64には16人の台湾人が残っていた。それを考えれば決勝戦が台湾人同士の対戦となったことにも素直にうなずける。本当に台湾の層の厚さばかりが目立っていた大会だったね。日本勢はJPBA・高橋邦彦プロのベスト32が最高位。
写真は優勝した呉珈慶。