ABSOLUTELY

franzkafka1232006-03-23

ecoik先輩、書き込み、ありがとうございます。EAT BEER JPNの更新が楽しみで足繁くアクセスしては、先輩の瑞々しい文章に感銘を受けています。私はというと、ご存知の通り、すっかり更新が滞っていて本当に申し訳ないです。昨日、久方ぶりにmixiへ日記を書いたので、それを近況報告としてここにコピー&ペイストさせていただきます。時間にゆとりが持てるようになったら、ここで自由に文章を書いてみたいと思います。それでは。


相変わらず私はポスターの中のカート・コバーンと終わりのないにらめっこをしている。これまでの通算対戦成績は控え目に見積もったとしても0勝1637敗ぐらいだろうか。彼はいつだって不敵な微笑を口元に浮かべて、その濁った目で私の心の隅から隅までを瞬時に見透かしてしまう。私は視線を逸らさずにスプーンでヨーグルトをすくうが、いつもそれは口元に運ぶ途中で机の上に零れて落ちてしまう。あ、と微かな悲鳴を上げてヨーグルトへ視線を移す。ゲーム・オーバー。それは皮肉にも完璧な比喩として私の23年間の人生を見事に象徴している。私は決まって「やれやれ」なんてぼやきながらベッドの上に倒れ込んで、染み一つない真っ白な天井を見つめる。そして、決まってこう呟くのが日課なんだ。「やれやれ、今度の相手も手強いな」


ここ三週間程、ある言葉が私の頭の中でリフレインしていた。けれども、それが何時、どこで、誰が私に向かって語り掛けた言葉なのかどうしても思い出すことが出来なかった。喉に魚の小骨が刺さったような遣り切れない気持ちを抱えながら、私はただ目の前に積み重ねられた課題を一つ一つ丁寧に片づけていくしか術がなかった。最後の難関だったITの課題を提出したにもかかわらず、この鬱積した遣り切れない感情の正体は一体何なのだろうと、私はU5の車窓からオックスフォードの冴えない街並みを眺めながら溜息を洩らした。両手を広げてくるくる回る気にすらなれない。寮へ辿り着くなり、誰もいないキッチンでインスタント・ヌードルを作って独り食し、部屋へ戻ってヨーグルトを食べながらカート・コバーンと今朝のにらめっこの続きを開始した。案の定、ゲームは彼の勝利で幕を閉じ、いつもの様に私は「やれやれ」なんて使い古された言葉をぼやきながらベッドに倒れ込んだ。ゴンッなんて漫画の効果音みたいな乾いた音と共に、後頭部に鈍い痛みが走った。「いってぇなぁ…ちくしょう」と思って振り返ると、そこには今朝演奏した時から置きっ放しにされていたアコースティック・ギターがあった。その瞬間、私の中ですべてが一本に繋がった。


三年前、まだ私が牛タンを焼いていた頃の話だけれど、一ヶ月半だけ付き合っていた彼女のアドレスは「this.is.a.pen.」だった。私が「どうして?」と不思議そうに尋ねると、彼女は「アドレスって英語で考えなくちゃいけないじゃん…一番最初に頭に浮かんだフレーズがそれだったの」と恥ずかしそうに答えていたのを突然思い返した。そうだ。彼女だ。


「充電がなくなった携帯電話って、なんだか少しだけ軽くなったような気がするよね」


そんなナンセンスな台詞だって、あの頃は許せてしまえたんだね。でも、どうしてだろう?歳を重ねる度に、そんな言葉を信じたくて仕方がない私がいるよ。エニウェイ、今なら私がもっともっとマシなアドレスを考えてあげられるんだけどな…


アリ君が日本帰国。もらい泣きしそうになったよ、アリ君。それはまたいつか再会した時の嬉し涙に取っておくね。


画像は私の良きにらめっこライバル、ポスターの中のカート・コバーン


今日の動画NIRVANAのIN UTEROから「Heart Shaped Box」のPV。世界的に有名なロック写真家であり、映像作家でもあるアントン・コービンが監督をしていたことを最近になって知りました。shame。今改めて思うことは、カートはロック・スタイルのお手本。オールスターではなくて、ジャック・パーセルを履いているのが通。数シーズン前のナンバーナインがカートへのオマージュを捧げていた時は、クラッシュ・ジーンズといい、ボーダーのロンTといい、光沢感が嫌らしいペーパーブルゾンといい、本当にこんな感じの服を発表してたよな、なんてね。


http://www.youtube.com/watch?v=6n9XqlngsKg&search=nirvana%20heart